スパングリッシュ

今年観た映画58作目

雇い主の裕福なアメリカ人家庭と、雇われのメキシコ人シングルマザーのメイドのそれぞれの家族の話。お互いの子育てや家族に関する価値観の違いからぶつかりあい。。。

レストランビジネスで成功する夫と、専業主婦で美意識の高い妻のデボラと祖母、体型見た目にコンプレックスを持つ小太りな娘。そしてメイドとして生計を立てながらも、自然な美貌に気付かない、カトリックで保守的な価値観を持つフロールとその美貌を受け継いだ娘のクリスティーナ。デボラは、クリスティーナを一目見て「こんなきれい子産めるなら卵子提供でぼろ儲けできるわね」とフロールに言ったり、クリスティーナの頭の良さを見つけ「絶対この道しかないのよ!成功させるには!」とアメリカのプレップスクールに通うことを強要したり、いかにもアメリカ人富裕層!的な発言で、アメリカに長く住んでた私からすると「あるある」と頷けるところが満載の内容でした。反して、フロールもこのアメリカ人家庭の内情にまで首を突っ込んでしまい、そこの娘に対してデボラがやせさせるためにわざと小さな服を買ってやったのに、勝手に裁断して大きくしてあげたり、旦那さんから家族の悩みを聞いたり。。。何だかお互いが干渉しあってどんどん悪い関係になっていきます。フロールは、アメリカ社会でクリスティーナが生き残るために、アメリカ式のやり方で育てなければならないのかと悩んだりしながらも、自身はただただ、子供に誠実であることや、小さくコツコツ努力を重ねることに重きをおく教育方針を曲げられずに葛藤します。

クリスティーナに反対した時は「おぃおぃおぃ」と画面に向かって私も突っ込んでしまいましたが、結果大人にならなきゃ人の価値や成功なんてわからないわけだし、いい心を持って育ったなら、それだけでも充分だなと最後はフロールに賛同するまでに考えが変わっていました。地頭や個性があれば、何も小学校から私立の進学校行かなくてもいける大学なんていくらでもあります。

物欲、美貌、いろんな欲にまみれるアメリカ人と、親子の絆の深さや心の成長を第一にする素朴な保守的メキシコ人を描く、アメリカ人とアメリカにやってきた貧困層の移民を描く学びの多いとてもいい映画でした。(まぁ、みんながみんなあぁいう富裕層ではないと思うけど。。。)

あまり日本では流行ってなかったみたいなのでとても残念です。アメリカでは結構流行ってたのになぁ。

Viva心の強い誠実な女!


P.S.1 やっぱりまともな子に育てるには、たくさん稼いでたくさん教育に費やしすよりも、良い家庭環境だったり人としての誠実さや心の安定の方が大事なんだろうなぁと考えさせられました。自分も肝に銘じたいと思います(将来子を持った時)。

P.S.2 ナレーションにする設定もかなり好きです。

P.S.3 パス・ベガは一見ぺネロピ?と思っちゃいましたが、日本でももっと有名になって良いほどの女優さんですね。