愛を読むひと

今年観た映画56作目

世界中で500万部売れた原作、「朗読者」の映画版。第二次世界大戦中のドイツを舞台に、15歳の若い青年マイケルと36歳のハンナのひと夏の恋を残酷に美しく描いた作品でした。

純粋に性に、恋に日に日に目覚めてしまうマイケルと、そんな子供な彼に淡々と接していくハンナ。後に弁護士になれるくらい、高校でも優秀だった彼は時々ハンナのリクエストで彼女に読み聞かせを行っていた。次第にハンナの方も心を許し始め、愛が深まっていくのだが、ハンナがある日突然いなくなってしまった。一瞬で終わってしまった年上との恋に心に傷を持ったまま時が過ぎマイケルは心を開かない人になってしまう。何年も過ぎたある日、法科生となったマイケルがハンナと再会。自分だけが知っている彼女の秘密を打ち明ければまたあの日に戻れるかもしれないのだが。。。

さすがアカデミー賞受賞!と納得のいく作品でした。誰もが正しいと思ってたことを成し遂げていたはずなのに、戦争が終われば世界が180度変わり、過去に縛られてしまうハンナ。死んでもそれだけは言いたくないと誓った愚かさというか、強さと言うか、人の自尊心って本当に深くて誰も入れないのだなと改めて感じました。そして、いつか愛したあの人を助けたいと思いつつも、今の常識で育ったマイケル。罪滅ぼしのためなのか、かつてのようにハンナに朗読したテープを送り続ける姿は純粋な想いと懺悔が入り混じって本人の苦しみが充分にも伝わる映像でした。最後まで悶々とした気持ちが残りつつあるのですが、とても悲しく空しくピュア過ぎる二人のある時代の話でした。

ずっと観ようと思ってたのですが、暗そうな雰囲気だったし、なかなか取っつきにくかったのですが、今回観れて本当に良かったと思った心に残る映画でした。

P.S. マイケルの大学の教授役のブル−ノ・ガンツさんにチューリッヒ−パリ間の飛行機で会いました!ドイツ語ができる相方が話しかけて物待ってる間や、パリに着いてからシャトルに乗るまでの間少しだけおしゃべりできました(^^) ヒトラー関連の出演映画の話をしたら気難しい感じでしたが結構いろいろ話してくれました。あれ以来隠れファンです。社会的にも役柄的にも難しい役に就いててものすごい俳優さんなんだなぁと尊敬しました。また彼の出てる作品を観てみます。(この映画はガンツさんが出ていることは知らずに借りたので「もしかして?」と思って相方に聞いてみるとそうだったので物凄く嬉しくなりました)

朗読者 (新潮文庫)
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