ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法

今年読んだ本33冊目

大好きなちきりんブログでちょくちょく登場するスーパーニートphaさんのデビュー作!ちきりんさんの考えの根底にある(ようにみえる)「世の中っていろんな生き方があるのよ」っていうメッセージがたっぷり詰まった一冊。「世の中捨てたもんじゃないな」と感動した。そして何より、一番重要なことは「働く定義って何よ」とこれを機により多くの人が考えられたらと思った。ニートと表してるのは結局彼のアイデンティティーというか、キャッチコピーでもあるし、編集側の釣りとしてわざわざ入れたかったといういともあっただろうし、だけどその言葉のみに過剰に反応せず、まず、読んでほしい。

phaさんは京大卒のエリート。人付き合いや集団行動が苦手でもやもやしたまま3年卒業が遅れ、一応社会人を数年したものの合わなくなりまた数年で辞めてしまう。その後、プログラミングを独学+職業訓練校で習得し、今ブログやったりツール作ったり、またギークハウスというシェアハウスで暮らしている。あまりスポットライトは当たっていないけど、タイでも暮らしたことがあるみたい。

この本を読んで率直に「世の中捨てたもんじゃないな」ってつくづく未来に希望を持てた。phaさんのブログを読んで、物資や金銭を提供してくれる誰かや、お金ではないかもしれないけど自分のアイディアや物資やいろんなものを他のニートと「シェア」するphaさん。誰かの「ほんのちょっとの支援」で誰かが生き延びている。それを可能にする「インターネット」やギークハウスといったコミュニティーの存在の大きさが感じられた。

「働く定義」って企業に属するということだけではないはずなのに、就職しなかった、退職したと言うと自動的に「ニートだ」と食いつく人やメディアの視野の狭さが、今の日本でとても目に付くのは否めない。生き方、働き方の多様性は昔も今もたくさんあるはずなのに、レッテルを張って簡単に人を解釈しがち。だけど、そもそも一発屋の歌手やライターなんかでも、実労働に問わず印税で暮らしてる人や会社なんてごまんといるはずなのに、何故そのような人達は叩かれず、その他大勢の「ノンサラリーマン」がここまで叩かれるのか。親のお金で生活しているどっかの金持ち御曹司は、例えばニートではないのか。仕事さぼりまくってるサラリーマンは?〜千万と出勤しないでも給与や手当をもらっている天下りの人は?そもそも専業主婦は?「働くってそもそも何なの?」とその定義について考えなければ、正しいニート論なんて誰も話せないのではと思った。

phaさんは、ニートじゃない。ひきこもっていただけじゃない。「そうやって自虐・自粛、誹謗中傷せず、こうやって助けたり助けられたり、お金を稼いだりもらったりして生きていく方法もあるんだよ」、そんなメッセージが込められてるような一冊だった。

こりゃいい本だ。

ちなみにphaさんのニートだけど別荘を買った記事、めちゃくちゃおもしろい。