デザート・フラワー

今年観た映画74作目

ソマリア遊牧民だった彼女がイギリス、アメリカでトップモデルになるまでにサクセスストーリー。アフリカという土地を、自分の家族を、それでも「愛してる」と言った彼女に衝撃を覚えました。

デザート・フラワー [DVD]
ポニーキャニオン (2011-12-07)
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ラクダがもらえるからという理由で、年老いた男の四人目の妻になるよう父に言われたまだ幼いワリス。どうしても嫌で、母の協力を得て逃亡を図る。何日も何日もかけてやっとのことで街につき、遠い親族を頼りに転々としながら生き延びるのだが、ある日イギリスへ駐在予定の親戚のメイドという職につき、イギリスへの切符を手にする。そこで待ちうけてたのは初めて見る「白人」、「英語」、アフリカ人以外の「黒人」、そして何より「割礼を受けていない女性たち」との出会いだった。

モデルになるチャンスを手に入れ男性との巡り合いもあるのだが、どうしても他の女性とは違う「割礼を受けた自分」とその過去を表に出せなくいるのだが。。。

アフリカのイスラム圏では今も割礼を受ける少女達が何万人ともいると言われています。本当に、何故こんな野蛮なことをするのか、女性を物として扱うのか、怒りと悲しみがこみ上げてきました。今、この21世紀でさえも、このようなことが行われているという事実を知れてよかったと思いました。1日でも早く、割礼が過去のものとなりますようにと祈り続けたいです。そして自身の過酷な過去を告白してくれたワリスの勇気に感謝します。そして終始、ノンフィクションとは信じられないことばかりでの連続でした。砂漠を何日も食べ物なしで歩きまわり(東西南北砂漠の地平線で、地図を持ち合わせているわけでもなく)、さらには大きな街で親戚までも見つけてしまい、国外逃亡の切符を手にし、そして「偶然に」有名な写真家にスカウトされるという、現実は小説よりも奇なりな人生。普段神様なんてあまり信じないのですが、ワリスの人生を知ると、「本当にいるのかも」と感じました。よくここまで生きられたなと、不思議で不思議でしょうがないです。本当に、「生かされていた」「導かれてた」としか思えないくらいです。

生き残るために、偽造結婚をしたり、いろいろ危ないことをしでかすのですが、それを目の前にしてもし私があの場にいたら「やめろ」と言えただろうか、と考えさせられます。正しい、間違っている、だけでは通らない、私の知らない過酷な世界が平行線上であるのだと思い知らされました。

残酷でとても心苦しいですが、より多くの現代人に観てほしい一作です。

VIVA!戦う女!

今は正式に結婚して子供もいるみたいで、嬉しく思います。幸せになってほしいなぁ。