働きながら、社会を変える。

今年読んだ本35冊目

児童養護施設(昔の言い方で言うと孤児院)について、管理体制や補助金の仕組み、子供の進路、入所理由等、前々から興味があったので、読んでみた。

筆者は金融機関で働く若いサラリーマン。児童施設を訪れ、子供達に「どうせまた来ないでしょ」と言われ衝撃を受け、出戻りで宿泊体験をし密接に生徒や先生たちと関わりながらルポを書いていく。問題の発見から、恐らく金融勤務ならではの感覚からいいアイディアを発案しこの問題に特化したLiving in PeaceというNPOまで立ちあげ運営していく。そもそもの児童施設への補助金のあり方が間違っていると個人的には思うのだが、早急に解決する方法として著者が考えた案はとても素晴らしいと思う。

生々しい子供達の入所前後の体験談なんかはとても心苦しいものだが、その他の所謂虐待に関する本よりはとても読みやすかった。その理由としてやはり筆者が苦しい中でも前向きになれる案を出していったところだと思う。現状がこうで、「で、どうすればいいの?」ってところまで落としてくれてるところが読者としてもありがたかった。

少子化少子化とうたってるだけで、受け皿をきちんと用意していない待機児童やこういった施設の問題点に国に目を向けて欲しいと切実に思った。でも問題解決を計らっている間に今も年々多くの子供達が犠牲になっている。結局子供は「誰がどの割合で育てるべきで、どのような大人を作り上げるか」と国が考えなければ子供に関する問題は絶対に解決しないと思う。

個人的には、国が理想とする大人像を描き、それに基づいて教育システムが作られることが大事。割合的には、社会(教育機関等):家庭 では8:2くらいでいいんじゃないかなとも思う。全ての子供は朝8−9時から夜6−7時まで預かるという仕組みでいいんじゃないか。その分たっぷり「両親」にも働いて税金を納めてもらう。親に預けて虐待されるよりは国に預けて下さい、とも思う。「責任がないなら産むな」とも言いたいけど、国は人口欲しいんだからこれくらい覚悟を持ってやらないといけない。もちろん全ての親が家できちんと教育できるのがベストだけど、今の大人たちもいろんな親に育てられて価値観がバラバラなわけなので、いいところの価値観はやはり国基盤で統一して「今の子供達へ」教育しないといけない。その子たちが親になった頃には、もしかしたら5:5の割合で社会:家庭で子供を育てる仕組みができるかもしれない。

いずれにせよ長期戦だけど、著者のように他に勤めながらでも少しずつボランティアといった形で社会問題解決に取り組むことが習慣になればよりよい社会になれるだろう。会社員も多く、そもそもボランティアという「行動」自体まだまだ身近じゃない日本で、ある意味いいロールモデルとしてどんどんこの本も売れていってほしいなと思った。

とてもいい本です。高校生くらいからより多くの人にぜひおすすめ!