Tiger Mother タイガー・マザー

今年読んだ本10冊目

元々子育てや教育論に興味を持っている私だが、これまでもいろんな類似作品を読んできたつもりでした。しかしこれまでにも爽快に「悪役」を演じられる母親ぶりを世にさらけ出せた著者に、純粋に拍手を送りたいとさえ思いました。大雑把にトピックを付けるとすれば、中国系移民(正確には中国→フィリピン→アメリカの移民)の両親を持つ中国系アメリカ人母のスパルタ教育奮闘記、かな。元々はニューヨークタイムズのコラムとして始まり、よくも悪くも全米中から大反響があったという内容です。

タイガー・マザー
タイガー・マザー
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エイミー・チュア
朝日出版社
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母親のエイミー・チュアは、自身もハーバードの学部・ロースクールを卒業し、大学教授として活躍する凄腕キャリアウーマン。そんな彼女が娘2人に、「中国式」英才教育で

・A以外は絶対に許さない
・お泊りは絶対に許さない
・毎日6時間のピアノ・バイオリンの練習

等を強制的に行っていました。しかし同じ教育法にも関わらず、長女のソフィアと次女のルルの反応は180度違いで戸惑うところや、もしかすると「失敗」に至しかねないところが、この本を教育マニュアルとして仕上げられなかった、ある意味良い点ではないかと個人的には思います。長女が16歳頃まで特に反抗もなく、素直に親の言うことを聞き育った反面、次女のルルは3歳の頃から親を睨みつけたり自己主張や個性が強かったりした強者。結局ぶつかり合い、神童とも言われたバイオリンリストとしての活動は今や趣味レベル(といっても幼い頃の実績があるのでそれでもプロに近いの領域だとは思うが)で今はテニスに打ち込んでいるとのこと。

子どもを罵倒したりするところは、文章にも関わらずその映像が浮かび上がり頭に焼き付いて離れない程衝撃なシーンも多くありました。ただ、そこには深い深い愛情と妥協を許さない自身のプライドとエネルギー。絶対に「子どもに訴えられては困る」とビクビク教育するような、欧米の親にはかなわないような要素が散りばめられていました。

今はあまり聞かないが、日本にも似たようなお受験戦争やスパルタ教育を実践している母親の話はたくさんあるのだが、よくぞこの時代に言ってくれた!とも思います。

また、彼女のスパルタぶりに反感を持っていた自分もいるが、同時に

(以下要約)
「では欧米の両親が自分が弱った時や死ぬ前に子どもに感謝され、面倒をみてもらう人がどれだけいるのでしょうか。中国では親に感謝し、面倒をみるのはいたって当たり前。こんなに罵倒し世間的に「やりすぎ、いじめ、虐待」と言われている親達が、何故子どもに感謝されるのですか。欧米式の方が、子どもが親を「弱ったら即ホーム送り」な現実があるのでは」

という主張には、正直悩まされることもありました。

とりあえず、英才教育の「一つの例」として読んでみる価値は非常にあります!


まだ読んだ直後なので整理しきれていないところもあるが、読む価値のある一冊ということだけは主張します。